実家の相続登記を自分でやってみた結果

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はじめに

最近、【相続登記が義務化された】とよく聞きます。


そこで「登記のやり方は?どれくらいお金や日数がかかるの?自分でできないの?」
と思っている方々に私が実際にやってきた事を中心にできるだけ分かりやすく説明いたしますのでお付き合い下さい。

結論

自分でやれました!!
(準備する順番や登記されていない不動産が有り苦労をしましたが…)

それでは相続登記のやり方を順を追って解説します。

目次

1.相続登記の義務化とは?
 1-1.法務省のホームページの記載内容
 1-2.解説すると
 1-3.私の場合

2.登記が必要な物件の特定のしかた
 2-1.土地、建物の【権利書】を探す
 2-2.【課税明細書(土地・家屋)】を探す 
 2-3.【固定資産税 名寄(なよせ〕帳】を取得する

3.遺産(不動産)分割の進め方
 3-1.遺言書の有無の確認
 3-2.遺産分割協議でもめた場合
 3-3.私の場合
 3-4.遺産分割協議書の作成
 3-5.相続関係説明図の作成

4.登記申請書の作成
 4-1.登記申請書作成に必要な書類を集める
 4-2.登記申請書を作成する

5.法務局の登記手続き相談に行く
 5-1.法務局の登記手続き相談とは?
 5-2.相続登記に必要な書類一式を用意する

6.法務局に書類一式を提出する
 6-1.法務局の指摘の通り書類を修正する
 6-2.法務局に相続登記書類一式を提出する

7.相続登記の完了
 7-1.受付票を受け取る
 7-2.相続登記完了までかかった期間

8.専門家(弁護士・司法書士等)にお願いした方が良いケースとは?

9.その他

10.まとめ

1.相続登記の義務化とは?

1-1.法務省のホームページ記載内容

『令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。

相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から
3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。』と記載されています。

*法務局のホームページ https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001388912.pdf



1-2.解説すると

『日本全国で持ち主がわからない放置された空き家が増えて安全上も衛生上も問題に
なっています。

だから持ち主をはっきりさせてしっかり管理してもらう為に、親が亡くなった後3年以内に
名義(相続登記)を変えて下さい。

変えないと罰金10万円をもらいますよ。』と言う事のようです。

ちなみに罰金10万円は不動産一筆に対してではなく何筆有っても10万円との事でした。
(地元法務局確認済)

1-3.私の場合

15年前に父が他界しましたが母が存命なので相続登記は行いませんでした。
(罰則は有りませんでした)

今回、義務化されたので実施しましたが、実際は3年以内の2027年3月末まで
猶予期間がありました。

ですから皆さんもすでに数年前から相続が発生していれば2027年3月末までに
相続登記を済ませて下さい。

2.登記が必要な物件の特定方法

2-1.土地、建物の【権利書】を探す

相続する家のどこかに保管している可能性が有るので探して下さい。

私の場合、家中探しましたが権利書は出て来ませんでした。

権利書は無くても問題有りません。

2-2.市町村が毎年4月に発行する【課税明細書(土地・家屋)】を探す 

この書類は市町村が毎年4月に発行する不動産納税通知書に添付されています。

無ければ市役所、町村役場の資産税課で再発行してもらって下さい。

下の書類が課税明細書です。自治体によってフォーマットは違うと思いますのでご注意下さい。

この書類で確認する事は、

① 不動産が何筆有って

② 評価額が何円で

③登記されていない物件が無いか? 

を確認して下さい。

もし、登記されていない物件が有ればその対処法は後ほど説明します。

2-3.【固定資産税 名寄(なよせ)帳】を取得する

名寄帳は市役所、町村役場の資産税課で取得して下さい。

下の書類が名寄帳です。自治体によってフォーマットは違うと思いますのでご注意下さい。

この書類で確認する事は、

2-2記載の課税明細書には評価額がある物件しか記載されていません。

裏を返せば評価額0円の物件は記載されていません。

一方、名寄帳は亡くなった方の所有の不動産が全て記載されているので申請に漏れがなくなります。
  
尚、名寄帳の取得にはお金はいりません。

私の場合、名寄帳を後から取得したので評価額0円の物件が有る事が解り、遺産分割協議書を
書き直しました。

ですから名寄帳は早く取得して課税明細書とつき合わせて下さい。

3.遺産(不動産)分割の進め方

3-1.遺言書の有無の確認 
 
まず亡くなった方の遺言書が有るかを確認します。

遺言書が有れば母・兄弟姉妹でもめる事無く遺言書通りの分割配分で登記申請書を作成します。

登記申請書の作成方法は後ほど説明します。

遺言書が無い場合は法定相続人全員で遺産分割協議(遺産配分を決める家族会議)を行い
その結果により遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の作成方法は後ほど説明します。

3-2.遺産分割協議でもめた場合

不動産の評価額が高額な場合、数回の家族会議では簡単に配分を決める事が難しいと
思います。

さらにもめると兄弟姉妹で争いになる可能があります。

従って、ご両親がご存命中に遺言書を書いてもらう事をお勧めします。

しかし他界されている場合は専門家(弁護士・司法書士等)に早めに相談する事をお勧めします。

その場合はまず県・市町村自治体の市町村民無料法律相談・無料相続相談を有効に利用して下さい。

他には商工会議所や勤労者福祉事業団、会社務めの場合は労働組合の無料法律相談なども
調べて下さい。

解決のヒントになると思います。

その後に正式に弁護士や司法書士にお願いする事をお勧めします。

3-3.私の場合

父が亡くなり10年以上も経過しているので遺言書を探しても出てきませんでしたし
そもそも遺言書を書いてなかったと思われます。

法定相続人は母と弟と私の3名ですので遺産分割協議を実家で行いました。

相続対象の家屋が4筆、土地が40筆以上も有りますが山奥の限界集落ですので不動産の
価値は高い物件でも10,000円程度です。

協議の結果、長男の私が全ての不動産を相続する事に決まりました。

3-4.遺産分割協議書の作成

遺産分割協議で配分が決まると次は遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の書き方は法務省のホームページにも記載されていますが、  
私が作成したものを添付します。
  
赤字で注意ポイントも書いておきましたので参考にして下さい。
  
尚、これ以降、記載している住所、名前、日付等全て架空です。

役所から取り寄せる書類は後ほど一覧で説明します。

3-5.相続関係説明図の作成
       
相続関係説明図とは、亡くなった人と相続人の関係が一目でわかる書類です。        
いわゆる「家系図」のようなものです。
 
相続関係説明図は相続登記で必ず作らなくてはいけないものではありませんが
相続関係説明図を同時に提出すると戸籍謄本や印鑑証明等の原本が返却してもらえます。
    
その原本をまた別の手続きで利用することができるので、手間と手数料を省くことができます。

ですので相続関係説明図の作成をお進めします。     
 
相続関係説明図の書き方は法務省のホームページにも記載されていますが、
私が作成したものを添付します。     

赤字で解説も書いておきましたので参考にして下さい。

4.登記申請書の作成

4-1.登記申請書作成に必要な書類を集める
    
登記申請書作成に必要な書類を説明します。
 
① 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡がわかる戸籍謄本又は除籍謄本    
 ・取得先:亡くなった方の本籍地の市町村役場    
 ・手数料:電子化のものは450円、手書きのものは3,000円程度  

② 被相続人(亡くなった方)の住民票除票(本籍地記載のもの)
  または本籍地が記載された戸籍の附票    
 ・取得先:亡くなった方の本籍地の市町村役場    
 ・手数料:電子化のものは400円、手書きのものは3,000円程度  

③ 相続人全員の戸籍謄本または抄本    
 ・取得先:相続人の本籍地の市町村役場又はマイナンバーカードの有る方はコンビニでも可能
 ・手数料:400円  

④ 相続人全員の住民票 (マイナンバーが記載されていないもの)    
 ・取得先:相続人の住所の市町村役場又はマイナンバーカードの有る方はコンビニでも可能  
 ・手数料:200円  

⑤ 遺産分割協議書に捺印した相続人全員の印鑑証明書    
 ・取得先:相続人の住所の市町村役場又はマイナンバーカードの有る方はコンビニでも可能  
 ・手数料:200円 (自治体で手数料は変わりますのでご注意下さい)  

⑥ 課税明細書(土地・家屋)…2-2で用意した書類

4-2.登記申請書の作成   

遺産分割も決定し、必要書類が全て揃ったのでいよいよ登記申請書の作成を開始します。   

私が作成した.登記申請書を見ながら解説をして行きます。

解説1:書類の上端から約6㎝は空白にして下さい。法務局の記載する場所になります。     

解説2:戸籍・除籍謄本を確認し戸籍上の死亡日を記載して下さい。     

解説3:死亡した方の名前を記載して下さい。     

解説4:住民票に記載されている住所を正確に記載して下さい。。     

解説5:申請者の名前を記載し押印(認印でOK)して下さい。     

解説6:つながりやすい電話番号を記載して下さい(携帯電話でOK)。     

解説7:2-1で用意した出生から死亡の経緯がわかる戸籍謄本、除籍謄本等、
    住民票の除票又は、戸籍の除票、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の
    住民票の写しを添付して下さい。

解説8:□の中にはチェックは入れないで下さい。権利書がもらえなくなります。     

解説9:提出する日付と法務局名支局名(法務局のホームページで検索)を記載して下さい。   

解説10:土地評価額が一筆につき100万円未満であれば登録免許税はかかりません。        
     私の場合は40筆余り全てが100万円未満でしたので記載の通り文書でOKでした。     
     課税明細書(土地・家屋)を確認し100万円以上の物件が有れば
     『課税価格 金○,○○○,○〇〇円』『録免許税 金○,○○○円』と記入します。
                  
登録免許税の計算は簡単に言えば、不動産評価額に0.4%をかけて100円単位を切り捨てて
1,000円単位で記載するようです。       

解説11:不動産の表示は課税明細書を見ながら正確に記載して下さい。

5.法務局の登記手続き相談に行く  

5-1.法務局の登記手続き相談とは?

正式な申請前に法務局の登記手続き相談を利用される事をおすすめします。

これは法務局の無料のサービスで事前に書類の不備をチェックしてもらえるので非常に
ありがたいです。

しかも登記する住所の法務局に行かなくても、自分の住んでいる住所の法務局でも相談に
乗ってくれます。

例えば、北海道の法務局で相続登記をする場合でも自分の住んでいる所が福岡県の場合は
福岡の法務局で相談にのってくれます。  

私の場合は2回相談をしました。
  
具体的には登録免許税の計算方法や細かい内容では押印や割印、捨印のやり方まで
教えてくれました。

とても親身にそしてやさしく教えてくれました。

ただし、1回の相談は30分以内で予約制ですので相談に行く法務局のホームページで
予約方法を確認して下さい。

5-2.相続登記に必要な書類一式を用意する

1回30分の相談ですので相談したい内容をしっかりとメモして臨んで下さい。

また書類も完成に近い形でクリップなどで順番にファイルして下さい。

用意する書類を改めて以下に順番に記載します。

① 登記申請書
② 遺産分割協議書
③ 相続関係説明図
④ 課税明細書(土地・家屋)
⑤ 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡がわかる戸籍謄本又は除籍謄本
⑥ 被相続人(亡くなった方)の住民票除票(本籍地記載のもの)または本籍地が記載
  された戸籍の附票
⑦ 相続人全員の戸籍謄本または抄本
⑧ 相続人全員の住民票 (マイナンバーが記載されていないもの)
⑨ 相続人全員の印鑑証明書

6.法務局に書類一式を提出する

6-1.法務局の指摘の通り書類を修正する

法務局の相談時に受けた指摘通りに書類を修正する。

6-2.法務局に相登記書類一式を提出する

所轄の法務局に相続登記書類一式を提出します。

提出方は直接窓口に持参しても郵送でもどちらでもOKです。

私の場合は直接窓口で提出しました。予約は不要です。

7.相続登記の完了

7-1.受付票を受け取る

書類を提出すると、係の方から受付票が渡されます。

そこに記載されている内容は、受け取り番号、登記完了日、印鑑持参などが書かれています。

但し、不備があれば電話がかかってくるようです。

私の場合は電話が無かったので記載の完了日以降に登記変更された権利書を受け取りました。

これで一連の相続登記が完了しました。


下記が登記完了証です。

下記が登記識別情報通知
いわゆる権利書です。


7-2.相続登記完了までかかった期間

書類探し・集めから書類作成、相談、提出まで集中すれば1ヶ月間で出来るとは思いますが
仕事をしながらでしたので約5ヶ月ほどかかりました。

8.専門家(弁護士・司法書士等)にお願いした方が良いケースとは?

① 1-2で記載の通り兄弟姉妹で不動産の取り分でもめて収集がつかない場合。

② 相続する不動産の名義が亡くなった方の名前ではなく祖父や曽祖父の名前の場合。
  このケースでは法定相続人が亡くなっていたりなど特定が非常に難しくなります。

③ 不動産が多くかつ何人にも分筆されている場合。

9.その他

今回、私の場合は以下の問題を解決する必要がありました。

①評価額0円の不動産が有りました。
対応内容は法務局に『評価額の算定依頼書』を書いてもらい市役所で評価額を算出してもらい
登記申請書に追記しました。

② 家屋は全て登記されていませんでした。
田舎の家はその昔は借金をしないで建てたので抵当権を設定する必要がありませんでした。
従って登記をしなくても良かったのです。
 
⇒対応内容:相続登記するに当り、家を登記するためには家の図面を書く必要が有り出費や
       時間がもったいないと思い市役所に相談しました。

       すると所有者変更届を出せば良いとの事でしたので市役所の資産税課で
       『家屋補充課税台帳 登録名義人の変更申請書』を提出し一件落着
なりました。この手続きは相続登記が全て終了してから行いました。

10.まとめ

冒頭でも記載しましたが相続登記は自分でやれます。

途中まで自分でやって、様々な問題で専門家にお願いする事になっても無駄だったと
思わないでください。是非とも勉強になったと思って下さい。

将来、自分の子ども達に迷惑をかけない為にも相続登記にチャレンジして下さい。

以上、長文になりましたが最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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